陸前高田の発酵食堂やぎさわというお店に行ってきた。発酵パーク「CAMOCY(カモシー)」という複合施設のなかにあり、ほかにも発酵にまつわるさまざまなお店が入っている。コーヒーショップ、パン屋、発酵調味料の販売などそのどれもが日常に寄りそった品々で「こういうのが家の近くにあったらうれしいだろうな」と思った。コーヒーもパンも醤油も発酵食品なんだと思うと、いかに普段身のまわりが発酵食品でかこまれているのかに気づかされる。とくにコーヒーなんて毎日飲むものだから僕にとって、いやもっと俯瞰していうなら人類にとって発酵食品は欠かすことのできない存在なんだろう。施設の中央にはテーブルと椅子がそれなりに用意されていた。休日ということもあり席の7割くらいは埋まっている。とりあえず席を確保して目的のやぎさわへ行き、メニューを眺めながらどれにしようか数分迷う。メインはおひつご飯で5種類くらいあり、どれも魅力的でおいしそう。また定食も用意されていてそちらはすでに2種類ほど売り切れていた。遅めのランチタイムだったからだろうか? なんだか魚を食べたい気分だったのでまぐろ漬けご飯を注文する。三陸産の天然まぐろを使用しているらしい。番号札をわたされて席で待つこと数十分(意外と時間がかかった)、料理が運ばれてきた。昔ながらの木製のぬくもり感あるおひつやみそ汁を眺めているとどこか懐かしさというか安心感というか、あたたかい感情が湧きでてくる。おひつの蓋をとるとキラキラと輝くまぐろといくらが登場した。しゃもじで茶碗によそいながらいただくスタイルだ。南部鉄器には出汁が入っていて最後はお茶漬けとして食べられるようになっている。新鮮な食感としっかり濃いめの味つけがお米との相性ばつぐんで、あっというまに最後の一杯になった(もちろんお茶漬けにして食べた)。久しぶりにいただくお茶漬けはとても懐かしくて心と体がほっこり温まった。お茶漬けなんて2、3年ぶりに食べた気がする。出汁をかけるとマグロがほんのり茹でられた薄茶色に変化して、また少し違った食感を楽しめる。あられやわさびも加えながら食べるお茶漬けは、ひかえめだけど奥深い味わいでしんみり身体に染みてくる。僕も今度家でお茶漬けを食べるときは、わさびを入れてみようと思った。やぎさわでランチを済ませたあとはコーヒーショップでホットコーヒーとコーヒー豆を買い、それから友人がパン屋で数種類のパンを買ってCAMOCYをあとにした。淹れたてのコーヒーを飲みながら、僕たちは海を目指してふたたび車を走らせた。