まだ6月にもかかわらずもう蚊に刺されてしまった。しかも指と指のあいだという超微妙な箇所で、かこうにもかきづらいし、でもめちゃくちゃかゆい。なんだこれ。どうしておまえはここを刺したんだと一時間ほど問いつめたい。しかしそのような怒りの矛先はむなしくも僕のまえから立ち去っていき、けっきょく胸中に抱えこむ選択肢しか残されていなかった。まあ2、3日もすればおさまってくるだろうけど忘れたころに急にかゆみだすときがあるからやっかいだ。そういえば昨日祖母の話をちらっとしたけど、子どものころ蚊に刺されて祖母に「ムヒ貸して〜」と頼んだら笑いながら「ほれ」と渡され刺された箇所(たしか足だった)に塗ったらとんでもなくヒリヒリして「ムヒってこんなに強烈だったっけ?」とパッケージを確認してみたらアンメルツだったっていう思い出があり、いまも蚊に刺されるたびに当時のできごとが脳内によみがえってくる。まあそれはさておき今年は蚊の発生が早いなあと感じていたのだけど(毎年8月くらいから刺されはじめるイメージ)よく考えたらあじさいを撮影しているときに何度か刺された記憶があるしこの時期からいたっぽい。僕の経験上、蚊は日陰やジメジメした場所に住みついてるからそういうところに長時間いなければ刺されることはあまりない。ただ夏場はどうしても太陽を避けて涼しい木陰でくつろぐので蚊に刺されること必須である。おもえば1年間に一度も刺されなかった年はない気がする(赤ちゃんのときは知らんけど)。蚊はどうして血を吸って生きていくはめになったのだろうか。蚊にしてみても人間に近づくことはリスクが大きいわけだしあまりメリットがないように思う。もっとこう、そのへんに生えている葉だったり花だったりはむかってこない対象があるわけで、そういうのをのんびり食べながら(吸いながら?)生きられるように進化すればよかったのにな。そうすればお互いにとってもっと親密な関係になれたのに。たとえば葉をはんでいる蚊の姿を見かけてあたたかく見守ったり、花にあつまって蜜を吸っている蚊を目にして「どんな味がするんだろう?」と想像したり。蚊がそういう生き物だったら僕の生活もいまよりずっと穏やかなものになるんだけどな。世界はどうしてこうも争いに満ちているのだろうか。