休日だったのでアラームをセットせずに思うままに寝て、起きた。それでも朝の5時半で、このままいつもどおり朝食を準備して部屋で過ごす代わり映えのない朝も悪くはないのだけど、いまひとつ心が乗り気じゃない。そんなわけで少し刺激を得るためにスタバへ出向くことにした。ショーケースには秋のメニューがずらりとならび、季節の移ろいに心が踊る。なにを隠そう僕は秋が四季のなかで一番好きなのだ。モンブランのケーキも捨てがたかったがちゃんとした(べつにモンブランがちゃんとしてないわけではありません)朝食をとりたかったので「3種のきのことチキン 石窯フィローネ」にした。もちろんドリップつきで。ちなみにこの日のドリップの詳細は省かれてしまったためなんの豆かはわかりません。それでもしっかりと腰の据えた苦みがあり朝食にぴったりとハマった。きのこのフィローネが予想以上に甘くて意外にもコーヒーとの相性がよかったのだ。僕は当初きのことコーヒーってどうなんだろうと(頼んでおいてなんだけど)いささか懸念していたのだが、そんなことは杞憂に終わった。それにしてもきのこって秋らしくていいですね。きのこのつるんとした舌ざわりにフィローネのしっとりとした内側とカリッとした外側、チキンやポテトといった多彩でバラバラな食感がひとつにとけあい秋の豊かな味わいに心が和む。店内で過ごしている客も僕をふくめて3、4人しかおらず、静かでおだやかな朝だった。まあこれはこれで代わり映えのない休日の風景ではあるけれど、秋のメニューだとか服装だとか空気感だとかそういう微細な変化を、ささやかな刺激を得ることができたように思う。ただこのあと公園まで散歩しに行ったのだが、外はあいかわらずまだ暑かった。とはいえあの狂気的な暑さはすっかり消えてしまっていた。これを書いているいまもクーラーをつけずにいる意味では、季節は着実に秋にむかって進行していることを実感する。大テーブルの片隅でひっそりときのこのパンとコーヒーを味わいながら、僕は山の紅葉のことを思った。カメラを片手に黙々と山を登りきりたいと希求した。店内ではLola Marshの『What Am I』が、いつの時代か読みづらい、けれども風情がありどこか洒脱なメロディでひっそりと流れていた。