メメント・モリと写真

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メメント・モリと写真

恵比寿ガーデンプレイス内にある東京都写真美術館で「メメント・モリと写真」という展覧会へ行ってきた。快晴の空と真っ赤なお花に出むかえられて、あまり「メメント・モリ」な気分ではなかったけれど、しんとした美術館の会場に足を踏みいれた瞬間から緊張感ただよう鑑賞モードに没入することができた。平日のお昼どきであるにもかかわらず、わりと多くの人が美術館を訪れていた(意外と若い人が多かった)。メメント・モリ(ラテン語で「死を想え」を意味する)をテーマにしているだけあり、やはり白黒写真が大半を占めていたように思う。もちろんカラー写真もあったけど、白黒写真の方が表現的に死を想わせやすいのだろう。もしくは時代背景的にカラー写真がまだ普及していなかったのかもしれない。いずれにせよどの写真も直接的であれ抽象的であれ、どこか死を連想せずにはいられなくなる。ここまで死を突きつけられた展覧会は初めてだし、死についていろんな角度から考えさせられた。メメント・モリ。キリスト教世界においてその言葉はつねに日常が死ととなり合わせであることを示す警句であるが、そもそも広く使われだしたのはペストが大流行した中世期に描かれた「死の舞踏(ガイコツと人間がおどる様子を描いている)」のイメージと結びついたことに起因する。伝染病や戦争や飢餓といった多難な時代を生きた人々が死を恐れ、その運命を受けいれて、だからこそ「死の舞踏」のようなユーモア?な作品にそのイメージを重ねあわせたのかもしれない。それは死を身近に感じることで「生」への確かな意味を見いだすための、いつの時代にも通底する正しいあり方なのだろう。コロナが大流行する現在だからこそ、「メメント・モリ」を写真をとおして再考・実感する意義は大きいように思う。

恵比寿ガーデンプレイス

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