そういえば最近スタバへ行ってないなと思い、ひさしぶりに散歩がてら朝食を食べにいくことにした。空はどんよりくもっていて時おり小雨がぱらついたが予報ではくもりだったので気にせず車を走らせる。スタバへ到着すると客はまだ誰一人としていなかった。いつのまにか発売されていたバジルポークのトルティーヤがおいしそうだったのでこれを手にとりドリップと一緒にオーダーする。この日のドリップにはカフェベロナが使われていた。こってりとした重厚な苦味が僕の脳をシャッキリとさせる。トルティーヤは温められた状態で提供された。フォークを使って食べるスタイルらしい。そのまま手でもって食べれなくもないが熱そうだったのでおとなしくフォークを使うことにした。ぷるぷるのポークがジューシーでうまい。もっちりとしたトルティーヤの食感もクセになるしバジルの爽やかな風味も重なりちょっぴり夏らしく感じた。ただこの手のパンをフォークで食べるのはいささか食べづらい気がする。つぎは手でもってみるか? 店内からはデヴィットボウイの『Modern Love』が懐かしげに流れていた。ポップで楽しげなメロディに力強い伸びやかなボーカルが印象的だった。色褪せない80年代を代表する名曲だ。トルティーヤを完食し、ゆっくりとコーヒーを飲みながらくつろぐ。朝にもかかわらず気温はあたりまえのように20度を超えていた。夏だ。スタバをあとにして公園まで散歩がてらやってくるとセミが「ミーンミーン(あるいはジーンジーン)」と大音量で鳴いていた。イヤホンから流れる音楽にセミの鳴き声が重なると、それはまるでバック演奏のようだった。夏だけの即興セッション。夏はどうしても賑やかになりたいらしい。道標にはセミの抜け殻がたくさん(こちらは静かに)残されていた。

ほとんどが下側に逆さまになってくっついているんだけど、これは殻を破るときに重力の助けを借りるからだろうか? それとも雨があたりにくい場所を選んだだけだろうか? あるいは一人で飛び立つのが心細く、みんな自然と集まったのかもしれない。セミの抜け殻をしげしげと観察しながら、セミしかわからない感覚に思いを巡らせた。周囲にはムクゲやノウゼンカズラといった夏の花がひっそりと、しかしたしかな存在感を放ちながら咲いていた。どちらも色鮮やかで可愛らしい。夏草の匂いがほてったカラダを少しだけ冷ましてくれた。






