すっかりコーヒー豆を切らしてしまったのでスタバで購入がてら朝食もとっていくことにした。どうやら店内はもうクリスマス気分らしく、コーヒー棚にも毎年恒例であるクリスマスブレンドがならんでいた。真っ赤なパッケージのそれを眺めていると僕の気分もクリスマス色に染まってきて、あたりまえのようにクリスマスブレンドを手にとりレジへもっていく。ついでに新作のピザトーストをショーケースで発見し、こちらも追加してドリップとコーヒー豆と一緒に会計した。早朝のせいか客はまだ一人しかおらず、静かでさわやかな空気が店内をつつみこんでいた。スタバへ向かう途中に車内から外の気温をチェックしてみると4度を指していた。外は雨が降っていて、もうこれがいつ雪に変わってもおかしくないかもなと思った(途中からあられに変わる場面もあった)。あたためられた新作のピザトーストにはトマトとチーズがふんだんにのせられていて、やさしい香りに食欲がそそられる。外はカリッと(理想的なトーストだ)、なかはおどろくほど軽やかでふんわりしていた。トマトのピュアな甘みとチーズのとろみがたまらない。カプリの「トマトとニンニク」を彷彿させるような、たしかな自信に満ちていた。これはもうレギュラー入り確定なのかしら? コクのあるコーヒーとの相性もよく、クリスマスムードただよう店内でいただくトマトのピザトーストは格別で新鮮だった。天井からはローレン・デイグルの『Jingle Bells』が楽しげに流れ、クリスマスムードをよりいっそう盛りあげてくれていた。ただ客は僕しかいなかったが(先客はテイクアウトだった)。誰もいない店内でトーストを齧りコーヒーをすすり、ぼんやりと商品棚やらメニュー看板やらを見るともなく眺めていると、不思議と前向きな気持ちになれた。僕はふと早く雪がちらついてほしい気持ちに駆られた。もしかして、という淡い期待をこめて外へ出てはみたものの、ただどんよりと曇っているだけだった。風は冷たく、街には人の姿も少なかった。それでもあの激しい雨がやんでくれただけマシなのかもしれない。いつもどおり軽く公園を散歩して帰ることにした。