毎朝コーヒーを淹れるときに使っているポーレックスの手動ミル(ミニの方です)が限界をむかえつつある。ただミルの本質的な機能、たとえば刃がダメになったとか粒度の調節ができなくなったとかそういう問題ではなくて、ハンドルを装着する接合部がなめってきてしまい回している最中に少しずつ上にずれていき、そしてすっぽり抜けるというなんとも間抜けなモーニングルーティンをこなさなければならない状況なわけです。「そういうのって問題が起こるまえに買い替えるべきよ」とどこからともなくお叱りの声がきこえてくる。僕はもっと早くに新品を用意しておくべきだったのだ。しかし悲しいかな、僕は生来「なにかを変える」のが好きではなく(できることならずっと同じような日々を過ごしていたい)新しいミルに変えることでそれはいたるところで微細な変化を生み、僕の細やかな基準としている視点も変更せざるを得なくなる。そういうのが深層心理に働き、けっきょくのところ買い替えるチャンスはいくらでもあったが今のいままで先のばしにしてきたわけだ。やれやれ。「じゃあ同じものを買えばいいじゃないか」という選択肢もあることはあるが、じつはこれリニューアルされていてまったく同じものはもう販売されていないのです。もちろん中古で探せばあるのかもしれないけど(探してないからわかりません)。僕がこれを購入したのは2014年でして、じつに8年半以上も経過したわけです。われながらよく壊れなかったなと褒めたたえたい。いや、それがいま壊れつつあるのか……。また同じようなポーレックスのミルにするか、それとも別のメーカーをためしてみるか迷ってしまう。電動ミルも楽そうでそそられるけど、手動によるあの掌につたわるごりごり感もコーヒーをイチから淹れる楽しさのひとつだと思うし、豆のかたさの認識や朝のささやかな運動にもなって悪くないんだよな。あと電動の場合、摩擦熱による劣化(酸化)を起こしやすいと聞いたことがある。たぶん手動でゆっくり挽くのが豆にとっていいのだろう。ただそれは明確に味への変化につながるのか、僕には電動ミルを使った経験がないからわからない。そういう意味では一度電動ミルをためしてみる価値はありそうだ。ところでリニューアルされたポーレックスのミルはハンドルの接合部が五角形から「-」になってるんですね。あらゆるプロダクトは徐々にリファインされていくはずだから、きっと「-」の形状の方がなめにくいのだろうな。まあそれでも8年以上もてば十分すぎる出来だけど。とりあえずハンドルがすっぽり抜けやすいこと以外に大きな不満点はないのでもう少しいろんなメーカーのミルを物色したいと思います。