タリーズでコーヒーを飲んだあと、いったん車にコーヒー豆を置きにもどり、ふたたび今度はカメラをもって公園まで散歩する。気温が30℃を超えておりカメラが壊れないか心配だったが(一度壊れた経験がある)ハスの花が満開らしく壊れる覚悟でもっていく。いや、でもマジで壊れないでくれ……。公園のお堀に到着すると、まさに見頃ともいえる多くのハスの花が満開に、夏の青空にむかって咲いていた。あざやかなピンク色の大きな花びらをしげしげと見つめながら何枚かシャッターを切る。いまのところカメラに不調はみられない。できるだけ木陰を選びながら公園の奥へと歩をすすめる。公園のツツジはすっかり緑の葉におおわれてしまったが、紫陽花はまだまだ健在だ。しかし中には枯れそうなものや咲きはじめのものも存在し、なかなか見ていて興味深い。紫陽花とはなんて個体差の激しい花なんだろうと思った。色の種類も豊富だし。すっかり梅雨も明けてしまい、公園は本格的な夏の熱気につつまれていた。あたりには夏草の強い匂いもただよっている。そして毎年恒例のセミの合唱コンクールが開催されていた。一度散歩中にセミがばさばさと飛んできて僕のTシャツにくっついた。はっと驚いて一歩あとずさりしたら、すぐにまたどこかへ去っていった。間近にするセミはけっこう大きくて、耳にささるような鳴き声と羽音も相まって迫力がある。子どものころは興味津々で手でつかまえたこともあったけど、大人になったいま、はたしてTシャツにそのままくっついていたらつかまえられるだろうか。あまり自信がない。しかしそれを最後にセミの姿を目撃することはなかった。周囲の木立から元気な鳴き声だけが響きわたる。去年はセミがたくさん樹木にとまっていたし、抜け殻もあちこちにくっついていたのに不思議と今年はどこを探しても見あたらない。これから増えてくるのだろうか? まあセミが大量に飛び交っている状況もそれはそれでうっとうしいが……。広々とした公園をぐるりとめぐり中央にある池までやってきた。水面には真っ白いスイレンが可憐に浮かんでいる。その姿を静かに見守っていると、急に池の噴水が空にむかって大量の水を噴射した。太陽の光の影響でそのまわりにはきれいな虹が発生している。夏の涼を感じられる貴重な風物詩、というか装置である。僕は噴水とはなんのためにあるのかよくわからなかったが、このために設置されているのかもしれない。しかし静謐で美しいスイレンの横でド派手に披露する噴水を眺めていると、どうもそれは違うんじゃないかと思えてくる。まあ見どころがたくさんあると言われればそれまでだけど。ふたたび池の隅にひっそりと佇むスイレンに目をうつすとそこにはシオカラトンボがとまっていた。白と青の配色は、ああ、なんて美しいんだろうと僕の心を揺さぶるのだった。