春になると毎年どこからともなくこの白い(正確には黒い部分もある)小鳥が自分の散歩コースに舞いおりてきて、僕のまわりをうろうろする。たまに僕を導くように僕の前方をトコトコトコと歩いている。そして思い立ったようにどこかへ羽ばたいていく。といっても電線だとか木の枝だとか、そんなに遠くまでは行かないみたい。たぶんだけど、この小鳥はこのへんに巣でもつくっているのではないだろうか。そうでもなければわざわざここにとどまる理由もなかろう。どこへでも飛んでいける自由な身分なのだから。でも結局まわりを見渡してみたけど巣らしきものは見つからなかった。まあそうかんたんに見つかったら猫とか猛禽類とか食物連鎖の上位の存在に見つかってしまうからそりゃわかりやすい場所にわざわざつくったりはしないか。しかしこの小鳥は好奇心旺盛なのか、あまり人を怖がってないみたいだ。いちいち僕のそばまで寄ってくるし(ここ一週間ほど毎日いる)いままでも何度か建物のなかに迷いこんでいる姿を目撃している。からだは小さいけど好奇心旺盛ですばしっこく、そのうえ狡猾だ。たまに人間をもて遊んでいるんじゃないかと思える行動を目にする場面もある。でも冬にはまったく姿を見せないんだよな。かならず春になるとやってくる。冬はどこかで冬眠でもしているのだろうか?