冬のスタバは華やかであたたかみがありとても好きだ。そんな空間に身をひそめながら静かにコーヒーを飲んだりパンを齧ったり音楽に耳をかたむけたり内省に浸ったり、そうやっておもうままにずっと過ごしていたいと思う。できることなら。だけどだいたい1時間もすれば立ちあがって外の空気を吸いに行きたくなるわけで、この日もそういう流れで短い一日がはじまった。新作のバターキャラメルミルフィーユフラペチーノを飲みたいと前日に思ってたんだけど、いざ朝になるとブラックコーヒーが恋しくなり、けっきょくそれに見合うパンを朝食にとることにした。シーザーチキン 石窯カンパーニュという、いちおう新作になるのかな? ブログを遡ってみたところ書いてなかったからきっとはじめて食べるカンパーニュだろう。ところでカンパーニュって田舎風のフランスパンなんだってね。素朴で一見ぼそぼそしそうなパンだけど、ふんわりやわらかくて意外な食感だった。わりとあちこちに小さな空洞が見受けられ、これが心地よい歯ごたえを生みだしているのかもしれない。たとえるならざっくり編みのニットって感じ。ゆるさゆえの田舎の緊張感のなさがいい。なかにはシャキシャキしたレタスやヘルシーな肉感のチキンなどがはさまれており全体的にひんやりとした、朝食にかぎらずランチにもぴったりな一品でした。全粒粉の豊かな香りに多彩な具材とシーザーソースがマッチして(そしてコーヒーともよくあい)身も心も十全に充たされた。外はここ数日でようやく雪がふりはじめ、あちこちで白い景色を繰りひろげていた。とくに土の上はなかなか溶けにくいようで、スタバのあとに訪れた公園はすっかり白銀の世界に侵食されつつあった。僕が待ちこがれていた冬の光景がそこにあった。スタバの店内ではリック・アストリーの『Love this Christmas』が楽しげに流れており僕の休日の気分を健やかに上昇させてくれた。グッズやコーヒー豆がならぶ棚には厳しい冬の寒さから身をまもるためにあたたかそうな格好をした2人組の客が静かに商品を吟味していた。一人はショート丈のダウンでもう一人はミドル丈のダウンを着ている。ミドル丈の客はニット帽をかぶり脱いだ手袋を片手にもち、後ろで両手を組んでいた。そのような冬のいでたちは、僕に強く“冬”を印象づけた。