「なんか海のそばに風車があってすごかったよ」と知人がいってたのをふと思い出し行ってみることにした。そういえばここの海水浴場はサンドクラフトで有名だったはず。もちろん時期的にそのようなものは置いてなかったが、たしかに海のすぐ近くにバカでかい風車がバンバンそびえたっていてすごかった。さすがにこれはあまりにも近すぎないかい?と疑問に思わなくもないが、まあ位置的にここがたくさんの風を浴びられるのだろう。なんなら洋上風力発電も(これは別の場所ですが)絶賛建設中ですし……。だだっ広い駐車場には早朝にもかかわらずぽつりぽつりと車がとまっていた。こんなに朝早くから海でも眺めにきたのだろうかと僕も車をとめて海の方へ歩いていったら波打ちぎわに多くの釣り人が横ならびにたっていてびっくりした。朝日に照らされた巨大な風車とたくさんの釣り人、そして絶え間なく打ち寄せる波。なかなかお目にかかれない光景にしばらく見入ってしまった。なんの魚を釣っているんだろう? 早朝の海沿いの散歩は気持ちよかったけど風が強いのと秋なのでけっこう寒かった。ただ砂浜を長時間歩けるのはなかなかいい。ランニングなんかもここを走れば膝にやさしくていいんじゃないかと思った。まあ僕はあまりランニングをしないけど。海の反対側は松林になっていてどちらかというと散歩メインの人はこちらに引き寄せられるみたい。海沿いは釣り人しかいなかったが松林では何人か散歩を楽しんでいる人たちをみかけた。せっかくなので僕も森林浴がてら松林をのんびりと歩く。自然の香りに癒されながら気がつくと釜谷浜で4、5時間も過ごしていた。時計をみるとお昼近くになっていてびっくり。まあたまにはこういうはじめての場所を開拓したり散策したりするのも悪くない。ちなみにこのあと別の場所にむかったんだけどけっきょくここが気に入ってしまい夕方また訪れてしまった。サンセットも有名らしく、ちょうどこの日は晴れていたので期待を胸に海へ出たら予想どおりきれいな夕日を拝むことができた。朝よりだいぶ車の数は増えていたが(たぶんサンセット目的)そもそも駐車場も砂浜も広いからこれでもガラガラに感じる。薄闇にそびえる風車は穏やかに回転をつづけ、釣り人は海から引き上げていき、僕をふくむ僥倖に恵まれた人々は真っ赤な夕日をあたたかく見守り、そしてそれは水平線に沈むときにその姿を「だるま」に変えながら静かに海の底へと消えていった。