ダミアン・ハースト 桜

お出かけ

ダミアン・ハースト 桜

せっかく東京にいるのだからふだん縁のないアートなんかにも触れたいなと思い、そしてちょうど六本木の街をうろうろしていたので国立新美術館まで足を運んでみることにした。そういえばここで昔なにかの西洋絵画を鑑賞したんだよな。なんだっけな……とすっかり忘れてしまったのでいま調べていたら(けっきょくネットからは何も得られなかったけど)ふわっと名前が舞い降りてきて思いだした。ミュシャだ。スラヴ叙事詩の全20点が展示されたイベントを目的にここを訪れたんだっけ。あれはとんでもなく大きな絵画で僕が人生で見たなかでも一番巨大だったと思う。2017年だから、あれからもう5年も月日が流れたのか。早いものだ。……さてそんな思い出話にひたっていると時間がいくらあっても足りないから本日はダミアン・ハーストの桜を見てきたよというお話です。あいかわらずたくさんの展覧会が開催されていてほかにも2、3カ所気になる展覧会があったのだけれどさすがに全部まわるわけにもいかず今回はダミアン・ハーストだけにしておいた。それにしても休日だったせいか国立新美術館、めちゃくちゃ混んでいた。でもダミアン・ハーストの会場はそこまでバカみたいに混雑していなかったのはせめてもの救いだったかもしれない。たぶんもう開催期間の終わりごろだったので見たい人はすでに足を運んでいるのだろう(2022年3月2日から5月23日まで)。どうしてダミアン・ハーストを選んだのかというと今年はちゃんとしたお花見に出かけなかったからだ。僕は毎年どこかしら桜まつり的なところへ行って満開に咲いた桜を楽しんだり写真を撮ったりしてるんだけど、今年は休日の天候にも恵まれずけっきょく行けずじまいだった。そんなわけで桜が心残りになっていたやさき、まさかここで「お花見」ができるなんて不思議なめぐりあわせだなと感じたのだ。自然がつくりだす雄大な桜もいいけれど、たまには人が表現したあざやかな桜を楽しむのも悪くない。そんなことを考えながらふらふらと引き寄せられるようにチケットを購入し、この展覧会を鑑賞するために僕はここまではるばるやって来たのだといわんばかりの気持ちで入場する。白一色に統一された開放的な空間にカラフルな桜の大型絵画が凛とした表情でかかげられていた。僕が想像していたよりもその絵画は大きく、幻想的で、儚くもあるし力強くもある見事な「桜」だった。一見どれも似たような桜の絵画に見えるけど一つひとつの作品をじっくり眺めるとずいぶん違いがあることに気づく。とくに青空の表情や桜のカラーであるピンクの領域がけっこう異なり、スカッと晴れた日の桜や薄い雲におおわれた晴れぐもりのような空、壮大なピンク色に染まった満開の桜、緑が散りばめられた散りはじめの桜など、生命の誕生から終焉までを桜というテーマで表現している印象を受けた。ちなみに本展の絵画は107点ある桜シリーズからハースト自身が選んだ24点が展示されている。大きいものでは縦5m、横7mを超えるものもあり、本物以上の桜のあざやかさだったり儚さだったり力強さを体感することができた。間近でしげしげと眺めると、それは意外と立体的であることに気づく。一般的な用紙にペタペタと塗られた平面的な絵とは異なり凹凸がはっきり認識できてそれが奥行と臨場感をうまい具合に与えているのだろう。僕はアートに疎いからそういうテクニカルなペインティングとかはよくわからないけれど、大きな桜を目のまえにして心が揺さぶられたのは言うまでもない。洗練された空間でのびのびと枝を広げ、色とりどりに咲き誇り、そして散りゆく桜を鑑賞することができた今年の「お花見」は僕にとって思い出深い「春」になった。

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