夏だし休日だしどこかへ出かけよう。できれば遠くへ……といきたいところだけどいろいろやることが溜まっていてしかたなく近場でカフェに行ったり散歩したり買いものしたりする程度にとどまった。スタバでは新作のチョコレートオールドファッションドーナツを食べてみた。名前長いからチョコドーナツでいっか。いつも食べるドーナツみたいにもっちりしているかと思いきや、とてもサクサクした食感でおどろいた。でも中はしっとりしていて理想的なドーナツ(もはやちょっとしたクッキー?)かもしれない。濃厚なチョコレートコーティングのおかげで味に深みがでるし、なによりコーヒーとばっちりあう。ドーナツが少しひんやりしているところも夏のこの時期うれしいポイントの一つだった。スタバのドーナツはそこそこバリエーションがあるので何種類かテイクアウトして帰るのもアリだなと感じた。スタバのコーヒー豆のストックが何種類かあるからドーナツさえあれば家にいながらスタバ気分で朝食を楽しめそうだ。僕はよく朝食を食べながら仕事することもあるので忙しいときなんかはこのスタイルが効率よさそう。コーヒーを淹れる時間だけいささかもどかしいが、まあそればかりはしかたない。それにしても夏休みに入ったせいか、街にはスーツケースを転がしながら歩く観光客がちらほらいていつもより若者が多かった。やはりみんな夏になるとどこかへ出かけたくなるのだな。天気は晴れたり曇ったり、あいまいな空だったが梅雨が明けたおかげですっきりした暑さだった。優雅にコーヒーを飲みながらチョコドーナツを食べる夏の朝。店内からはManchester Orchestraの「The Gold(Nick Waterhouse Remix)」が和やかに流れている。とてもリラックスした時間を過ごすことができた。スタバをあとにしてそのまま和やかな気分のまま散歩に出かける。街はたくさんの人であふれていたが公園にはぽつりぽつりとしか人はいなかった。ベンチで休んでいる老年の男性、軽装でウォーキングしている若い男性、日傘をさしたサラリーマン、犬をつれた女性(大きなハットをかぶっていたので年齢は不明)。ほどよく人がいて、ほどよく暑く、ほどよい風が吹いていた。樹木の上の方ではセミが「ジーン」と鳴いており、目のまえの看板にはそのセミの抜け殻がじっと静止していた。君はこの場所から自由を求めて飛びたっていったのかと思うとなんだか喜ばしい気持ちに駆られた。しかしよく飽きもせず永遠と鳴きつづけられるなと感心する。僕なんか車内で1曲歌うだけで(たまにドライブ中に歌うのだ)ノドがやられてしまうのに。セミは人のようにノドがかすれたりうまく声がでなかったりするのだろうか。それとも構造上ずっと安定した声で鳴きつづけられるのだろうか。高い樹木を見上げながら、僕はどこかに潜んでいるセミのことを思った。