なんか適当にタイトルをつけたら「ヘリコプターでロマンチックなクルージング」みたいな感じで誤解されそうだけど、いたって普通の飛行機です。たまたま夕方のフライトでいつもどおりなにを考えるともなくぼんやり空を眺めていたらきれいな夕日に出くわすことができた。とてもラッキーでこの時間のフライトはちょっとお得だなと思った。もちろん朝のすがすがしい青空と鋭く差しこむ太陽に照らされながらのフライトも悪くないのだが、窓ぎわに座っていると(僕はいつも窓側の席をとる)長時間この紫外線をダイレクトに受けつづけるのでいささか心配になってくる。とはいえじゃあ日よけを下げるかといわれたら、それはちょっといやだ。せっかくの景色が見えなくなるなんてつまらないじゃないか。でもごく稀にとんでもなくまぶしい位置から太陽に狙い撃ちされることがあってそんなときは妥協案として半分ほど下げている。さすがにとなりの人にも悪いので……。まあとなりに誰もいないシチュエーションの方が多いのだけど。そんな感じで日中のフライトは太陽との格闘がネックである一方、夕方は空が薄暗くなり太陽が出ていたとしてもまぶしくない。美しいオレンジ色で染まりうっすらと青空も残っていてとてもエモーショナルだ。日よけを下げるなんて考えすらよぎらない。もうずっとこの夕焼け空につつまれていたくなる。願わくば、このままあてもなくどこかへ飛んでいってほしい。そう思ったのもつかの間、飛行機は着陸体制に入ってしまった。残念。また機会があればこの時間帯にチケットを購入しよう。忙しくも充実した一日を終え、ゆったりとビル・エヴァンスでも聴きながらサンセットフライトに身をゆだねる。頭を空っぽにするのもよし、内省にふけるのもよし、途中でうたた寝するのだっていい。自由だ。なぜならここは空の上だから。ところでサンセットが叶うならサンライズもあるのだろうか。僕はまだ飛行機で日の出を拝んだことがない(もしかすると寝過ごしている可能性もあるが)。いつの日かサンライズフライトを体験してみたいな。忙しくも充実した一日のはじまり。あたらしい朝。そういう状況を機内で味わうことができたらさぞかしわくわくするだろう。深夜便で未来の方向へ飛べば巡りあえるのかな? 世界で一番時刻がすすんでいる国は? どうやらキリバスという国らしい。日本との時差は3時間。あれ、これだとまだ深夜のままだった。そもそも直行便がないか。日本はけっこう時間が進んでいる(日付変更線に近い)国なのですね。じゃあ逆に過去の方向へ飛べばいいのか。でもそこで目にするサンライズは果たして「あたらしい朝」と呼べるのだろうか。なんだか頭が混乱してきた。疲れているのかもしれない。
