ファーストフルーツをあとにして、お次はおいしい定食屋をもとめて麻布十番のパティオ通りに位置する「あん梅」というお店でランチを食べてきた。干物割烹ということで、とうぜんお魚の干物がメインになる。しかもかなりのこだわりようで、ここのお魚は一尾一尾釣りあげた「釣りもの」に限定しているらしい。天日干しで旨みを最大限に凝縮し、そのうえ炭火焼きでの提供だからこれがうまくないわけがない。というわけでさっそくランチメニューを眺めながら気になったあじの定食をオーダーする。あじの開きに煮物、おひたし、香の物、ごはん、みそ汁のセットで税込1,300円だった。このクオリティのものをこのお値段でいただけるなんてありがたい。あじの開きは僕が人生で食べたどのあじの開きよりもおいしかった。身がふんわりしていて香ばしく、おもわず「俺が今まで食べてきたあじはなんだったんだ」と疑問を抱かずにはいられない、そのくらいの逸品だった。大根おろしもただすりおろしたものじゃなくて小さく刻まれた大根も混ざっていて「こういう大根おろしもあるんだなあ」と感心する。「神は細部に宿る」というが、まさにそういう細部にいたるまでのこだわりを感じられる。魚に白ごはんとシンプルだけどそれゆえにごまかしが効かない難しさがあると思うが、一匹のあじをここまで昇華させるあん梅の手腕に感服してしまうほかなかった。そういえば麻布には「たき下」というこれまたおいしい焼き魚定食(ランチしか行ったことないけど)を提供するお店があるんだけど、あちらはけっこう混んでるイメージがあり、そして席がぎゅうぎゅうなのでゆったり食べるなら「あん梅」の方がいいなと思った。ちなみにこの日は13時ごろに入店したんだけど、テーブル席には一人しか客はいなかった。奥はカウンター席になっていて僕はテーブル席で食べたのでよく見えなかったがたぶん1人くらい客がいたかもしれない。いずれにせよ通りからお店自体が目立ちにくいので知ってる人以外はスルーしちゃうと思われる。だからこそ落ち着いて定食を食べたい人にはおすすめです。麻布の定食のレパートリーが増えてよかった。次はほかの干物も食べてみたい。