くもりのち雨という予報だったので午前中のうちにカフェと散歩を済ませるべく、肌寒いなか車を走らせる。車内の外気温度計は12度を示しており、もはや肌寒いというよりはふつうに寒いなと思った。スタバに到着するとやはりこの寒さのせいかまだ客は誰ひとりとしていなかった。途中でテイクアウトの客が1人だけきたが、その後もしばらく店内は僕だけにとどまった。つぶれてしまったら困るからこの日もしっかり朝食とドリンクとコーヒー豆を購入したのだけど、はたして大丈夫なのだろうか……。あまり混みすぎるのは好きではないが、長時間僕ひとりだけというのもいささか心配になってしまう。「あんなに元気だったのに」という人がぱったりいなくなるように、ある日とつぜん店がなくなるケースもちらほら見受けられるので、そうならないことを願うばかりだ。秋が深まるにつれて僕の気持ちもより秋を求めているらしく、この日は「きのこクリームのチキン&モッツァレラ 石窯フィローネ」を注文した。あとはいつもどおりホットコーヒーと、それから新作の「スマトラ」というコーヒー豆も購入した。もう一つの新作「スマトラ ドゥア カリ」も気になったのだが、こちらは限られた店舗でしか販売されておらず残念ながら僕が訪れた店には置かれていなかった。今度どこかで見かけたらこっちも購入してみよう。温められたパンはカリッと歯ごたえがあり、クリームのやさしい味わいが心に染みた。きのことチキンのぷりっとしたなめらかな食感も非常によく、ひかえめな味だけどじわりと奥深い、とても秋らしい一品だなと思った。コーヒーにはカフェ ベロナが提供されていた。ダークココアを思わせる苦味にふった味わいのコーヒーは、これもまた肌寒い秋の朝によくマッチしていた。店内に流れるヴァンス・ジョイの「Way That I’m Going」に耳を傾けながら(おだやかで牧歌的な曲だ)のんびりと優雅に食事をとり、そのあと公園まで散歩した。公園も寒くなってきたせいか、あまり人がいなかった。静かでどんよりくもっており頭上では時おりカラスがしれっと通過する。木から木へと移動しながら、まるで上空から僕を監視するかのように。しかしそのような暗澹たる気配でも植物たちは粛々と紅葉への移行をすすめていた。緑と赤の葉が混じりあう、まさに季節の交差点にさしかかろうとしている。そろそろ冬支度をはじめるべきかもしれない。
