9月も半ばに差しかかりようやく朝は安定して過ごしやすい気候に入った。朝というか日中ももうあの唸るような暑さにさらされることはない。秋だ。でも残念ながらこの日は朝からどんより曇っていて、ときおり雨もぱらついていた。おそらく散歩中も雨が降るだろうから前もって傘を準備する。とはいえまずはスタバで腹ごしらえ。きのこクリームのフィローネでも食べようかと画策していたが、ショーケースに並べられたパンプキンスコーンがうまそうだったので予定を変更する。ついでにお目当てのオータムブレンドの豆もゲットした。ドリップはこの日サイレンブレンドが使われていた。シトラスを感じさせる調和のとれた味わいが、夏の残り香がただよう秋の朝にぴったりだった。スコーンの色あいもどこかハロウィンを彷彿とさせる秋らしさがあっていい。甘さひかえめでパンプキンの素朴な味わいが印象的だった。ほろりと軽やかな食感でシナモンがかすかに効いている。ブラックとの相性もよかったけれど、つぎはカプチーノやチャイラテなんかにもあわせてみたい。きっと素敵なペアリングを楽しませてくれるだろう。朝のスタバは僕をふくめて客は3人ていどだった。静かで落ちついた安らかな朝。天井からは明日への希望に満ちたメロディが(なんの曲かわからない)ひかえめなボリュームで流れていた。この日は日差しがほとんどなかったので久々に窓ぎわ席に腰かけた。外はあいかわらずどんより曇っており、そのせいか街はいつもよりのっぺりとした風景に見えた。人や車もぽつぽつと寂しげでどこか仕方なく移動しているようだ。秋の空気がそういう印象にさせているのだろうか? スコーンを食べ終えたあといったん車にコーヒー豆を置きにいき、それから公園まで散歩する。いまのところ雨は降っていない。公園に到着するとモミジがうっすらと赤く色づいていた。きっとこれから徐々に赤みが増してくるのだろう。はやく真っ盛りに色づいた紅葉のなかを散歩したい。人知れず深い森のなかをひとり静かに歩きたい。僕はいま、秋の少し肌寒い空気がとても恋しいのだ。読書に映画にゲームに散歩に……。秋は密やかな楽しみに満ちている。そんな妄想にひたっているとぱらぱらと雨が降ってきた。さっきまで「傘じゃまだな」と疎ましかったのだけど、こうしていざ傘をさすと「持ってきた甲斐があったな」とうれしく思う。でもそもそも傘をじゃまに感じてしまうこと自体がもったいないかもしれない。もっとこう「今日は傘を持っていける!」というモチベーションに変わりたい。お洒落な傘でも探してみようか? できればだらけがちな雨の日をシャキッとさせてくれる紳士的でシックな傘。人生において傘をさして歩ける時間なんて、もしかすると思いのほか短いかもしれないのだから。
