スタバをあとにすると雨はすっかり止んでいた。とはいえべつに雨雲が消えてカラッと晴れた青空が広がっているなんてことはなく、あいかわらず鉛色の、どこか不吉で重苦しい雲がそのまま居座っていた。湿気もひどくて遠くにはところどころ靄がかかっている地帯もあった。そんなわけであまり愉快な散歩とはいえなかったが僕の数少ない健康習慣でもあるし、とりあえず一時間ほどせっせと歩くことにした。2週間ぶりの公園はいつのまにか紫陽花だったりアヤメだったりつつじだったり(いや、つつじは前から咲いていたか)多彩な花が咲いていた。とくにあちこちに咲くぼってりとした紫陽花たちが印象的だった。ちょうど雨あがりだったし葉っぱや花びらがしっとり濡れていて“紫陽花らしさ”が引きたっていた。またアヤメもたくさん咲いていた。紫だったり白だったり黄色だったりこちらも色とりどりのアヤメが元気よく、雨にも負けず咲き誇っていた。そういえばけっこう前に紫のアヤメを目にしてたんだけど、白と黄色は初めて見たような気がする。遅れて咲く種類なのだろうか? つつじは旬を過ぎたせいか、咲いていることはまだ咲いているがみずみずしさが損なわれていた。力なく枯れそうな(そしてすでに枯れてしまった)つつじもちらほら見かけた。足どりが重くなる梅雨シーズン。僕とは反対に草花はおおむね喜びに満ちているようだった。花粉が落ち着きをとりもどしたことには感謝するが、つぎは暑さと湿気との戦いなんだなと、おもわずため息が出てしまう。園内にある池の鯉たちは「梅雨とはなんぞや?」とでも言わんばかりの顔つきで、優美に水のなかを漂っていた。梅雨のときだけ僕も鯉になって身軽に、優雅に移動したいと思った。早朝に雨が降っていたせいで公園はいつもより人が少なかった。雨はうまいこと止んでくれたけど木の枝や葉っぱからしたたり落ちる水滴のせいで予想以上に濡れてしまった。雨が止んだとはいえ、こういう成行でけっきょくのところ濡れてしまうこともあるんだなと反省した。つぎはもっと防水性に優れた洋服を準備しておこう。