翌日が休日だったせいか前日の晩は気がゆるんで久々に夜更かししてしまったのだけど、けっきょくいつもどおりの時間に目を覚まし、二度寝しようか迷ったあげくそのまま起きて活動することに決めた。そんなわけで顔を洗ったり服を着たり荷物をまとめたりして家を出る。外に出ると空がうす暗くて雨がパラついていた。前日の予報ではくもりのち晴れだったのですっかり油断していた。まあ向かっている最中に止むことを祈りつつ車を走らせていたらむしろ雨は激しさを増しワイパーをフル稼働させるほどの悪天候に移り変わってしまった。けっきょく目的地に到着してからも雨が止む気配はなかった。とりあえず散歩をあきらめてスタバで朝食をとることに。といってもとくに腹が減っているわけではなかったのでこの日はドリップコーヒーだけをオーダーする。7時ちょい過ぎに入店したらまだ客は一人しかいなかった。窓ぎわに座っていたので僕は奥の大テーブルの席に腰をおろし、まったりコーヒーを飲みながら朝の静かなひとときを過ごす。ちなみにこの席からは窓を確認できないのだけど雨のどんよりした重く気怠いあの空気はここまでじゅうぶん伝わってきていた。だけども店内に流れるLucinda Williamsの『Passionnate Kisses』が軽快なリズムと爽やかなメロディーでその空気をいくぶん軽く明るいものに浄化してくれていたようにも思う。雨には雨のよくあう曲もいいけれど、この日の僕のように「雨をネガティブに捉えてしまう日」にはノイズキャンセリングイヤホンのような逆位相のメロディーなんかが心が晴々していいかもしれない。そんなことをぼんやりと考えながらコーヒーを飲んでいるとこのコーヒーがすごくコクがあってうまいことに気づく。ただ残念なことにこの日は何のコーヒー豆を使っているのか伝えられていなかった。まあこういう日にかぎってそういうことって起こるんだよな……。たぶん旬のコーヒー豆を使っているんじゃないかと予想を立ててスタバの公式サイトをのぞいてみると、いまはパプアニューギニアというコーヒー豆が旬みたい。ハーブの風味やさとうきびを思わせる甘みなんかが特徴で、なんとなくこれなんじゃないかと勝手に結論づけた。バランスも非常に優れていて僕好みの味わいだったので次に来店したときにはぜひとも購入したい(いまはまだ自宅にたっぷりコーヒー豆があるので……)。ふと腕時計に目をやると約1時間が経過していた。僕はマグカップを手に持って席を立ち、それを返却棚に返してから店をあとにした。外に出ると空はあいかわらず分厚い雲におおわれていてうす暗い。でもあれほど激しく降りつづいていた雨はもうすっかり止んでいた。街を歩く人々もほとんどが傘をたたんで手に持っていた。僕は駐車場に向かう足を方向転換し、桜まつりが開催されている公園へと歩を進めることにした。